令和4年篠栗町議会第1回定例会施政方針~混迷の時代から抜け出すために~
皆さんおはようございます。本日、令和4年第1回定例会を招集いたしましたところ、公私ともご多忙の中、ご出席賜り誠にありがとうございました。
それでは、令和4年度の施政方針についてしばらくお時間をいただき、述べたいと思いますが、まず次のことを発信いたします。
すでにご承知の通りロシアは、2月24日、国際社会からの警告を無視してウクライナへの軍事侵攻を開始し、その後、民間人を含む多数の犠牲者を出し続けています。
このことは、明らかな国連憲章違反であるとともに、全人類の願いである世界平和と国際秩序の維持を脅かすものであり、1986年(昭和61年)3月25日に非核・恒久平和宣言をしている篠栗町として、断じて容認できるものではありません。
ここに、ロシア軍による武力攻撃とウクライナの主権侵害に厳重に抗議し、多くの人々のかけがえのない命と平静な日々を無残に奪うロシア軍の侵略行為の即時中止とウクライナ領土からの完全撤退、国際法に基づく平和的解決に向けた誠実な対応を強く求めます。
また、糟屋郡7町すべてが、令和4年議会第1回定例会期間中に同様の抗議声明を発信していることを申し添えます。議会におかれても、本日この後、議会としての抗議の決議をされると聞き及んでおります。ともに、ウクライナの平和、そして世界平和のためにしっかりと発信してまいりましょう。
新型コロナ感染症の拡大については、福岡県においては昨日3月6日にまん延防止措置は解除となりましたが、3月7日から4月7日までを「感染再拡大防止対策月間」と位置づけ、基本的な感染対策の徹底をよびかけるとしています。引き続き、私たちもマスクの着用や3密の回避などこれからも徹底してまいりましょう。
5歳から11歳までのワクチン接種については篠栗町においても接種券を配布済みでございますが、ワクチンを接種するかどうかはご家族で検討いただくよう厚生労働省からの新型ワクチン接種についてのお知らせを同封しております。対象者の集団接種は3月19日から行います。
そうした中、福岡県町村会では、定期大会(書面会議)において「新型コロナ感染症拡大が長期化し、国民生活及び社会経済活動に極めて深刻な影響をもたらしている。加えて、近年多発する自然災害に鑑み、コロナ対策をはじめ、災害からの復旧・復興の支援対策の充実に努めるとともに、住民の生命、財産を守るため、防災、減災対策のさらなる推進をはかり、安全・安心な暮らしの確保に全力を挙げる必要がある。
また、地方創生の更なる推進のためには、コロナ禍・コロナ後社会を見据えた社会の構築を国と地方が総力を挙げて取り組んでいかなくてはならない。」として、
「新型コロナウイルス感染症の終息に向け、徹底した感染防止対策を講じること また、安全安心な地域社会の再構築とコロナ後社会を見据えた経済対策の充実を図ること」
はじめ16項目の決議をおこないました。
私は、毎年、3月定例会の施政方針を述べる際、日本の原点である町村のあり方について述べている町村会の決議文において、最も重要であると思う部分を引用しております。その中でも今年は次の点を強調したい。
「我々町村長は、このような状況を踏まえ、相互の連携を一層強固なものとするとともに、自らの変革を厭うことなく不断の決意と揺るぎない信念を持って、直面する困難な課題に積極果敢に取り組み、自らが知恵を絞り、住民と一体となって地域特性や資源を活かした施策を展開し、豊かな住民生活と個性溢れる多様な地域づくりに邁進するとともに、安全安心で活力と潤いのある町村の実現を目指すことができるよう行財政基盤の強化を図ることが必要である」
混迷の時代から抜け出すために
令和2年度、3年度は、新型コロナ感染症防止のため、殆どの社会経済活動を停止せざるを得ないという大変な2年でした。本町におきましても、季節ごとに恒例となっていた町の事業や地域の行事、学校関係のイベントも大きく規模を縮小したり中止したりするという事態となりました。
令和4年度もなかなか先が見通せない中、こうした時こそ、次の時代を見据えた大きな流れを引き寄せるための重要な時期であるとの判断から、令和3年6月に国・地方脱炭素実現会議が提示した「地域脱炭素ロードマップ」~地方からはじまる、次の時代への移行戦略~ に基づき、9月8日に福岡県で10番目となるゼロカーボンシティ表明を行い、環境省の補助事業を活用して篠栗町脱炭素ロードマップ作成事業に取りかかりました。
今後は作成したロードマップに基づく2050年のカーボンニュートラルに向け、環境省の積極的支援を受けられる全国100か所の「脱炭素先行地域」を目指して行動を起こしてまいります。今年度は、その一歩を踏み出すための重要な年度であると位置づけ、議会の皆様とじっくりご協議して、篠栗町のあるべき姿・進むべき方向を町民の皆様に示していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
令和2年度からスタートいたしました篠栗町地方創生=「第2期篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」は中間年度となります。
第2期篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略の中心施策であります「篠栗北地区産業団地開発事業」は、いよいよ進出企業による工場建設工事が一部始まりました。まちづくり事業として団地内整備を進出企業と一体となって行い、個性ある様々な食品系工業団地の形成とそれらを目当てに人の行き来を演出する未来志向のシンボルゾーンを形成してまいります。令和5年秋のグランドオープンを目指します。それにより税収増加や雇用機会の増大と働き手世代人口の流入等による自主財源比率の向上を図る大きな力となると考えております。
このほか今年度も引き続き、しっかりと篠栗町の将来の道筋をつけるために様々な取り組みを全力で推進することとしておりますので何卒よろしくお願いいたします。
では、令和4年度事業について、課ごとで取り組もうとしているポイントを説明いたします。
1 議会費
まず、議会におかれましては、議会の活性化に向けたさまざまな取り組みに対し心から敬意を表します。
議会事務局におきましては、更なる先進的な議会を目指して情報収集をお願いしていただければありがたいと考えます。
2 総務費
総務費では、総務課、財産活用課、財政課、まちづくり課、会計課、税務課、収納課、住民課が関わっております。
●総務課
令和3年度からスタートした地域担当職員制度の取組みをさらに一工夫して推進してまいります。
次に国土強靭化計画の策定に着手いたします。また、地域防災計画の改定も併せて行います。その為に自衛官OBを採用し、専門的知見に基づいた、より具体的な計画を策定してまいります。また、福岡県総合防災訓練を5月29日にかぶとの森公園で実施いたします。
●財産活用課
財産活用課を新たに設置し、庁施設全体の大規模改修・更新の計画など専門性をもって取り組みを進めます。自治体DXなど情報政策の推進は財産活用課が取り組みます。
●財政課
財政課では、中・長期の財政計画の策定を進める中で、総合計画や都市計画マスタープラン、第2期篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略に謳いこんだ様々な取り組みの実現過程で、財政状況がどのように動いていくのか、更に検証を加えて議会にご報告いたしたいと考えます。
●まちづくり課
篠栗北地区産業団地におけるまちづくりのグランドデザインの構築を進めて、令和5年秋のグランドオープンに備えます。また、ふるさと寄付金は、返礼品のメニュー開発および出店サイトの増強を進め、昨年度の当初予算額から5千万円上乗せし、2億円を目標に推進いたします。
次期総合計画は新たな手法を模索しながらより身近で具体的な計画に仕上げます。
●会計課
指定金融機関が慣例的に行ってきた事務が、会計課職員に一部移行します。併せて、指定金融機関窓口が2名から1名配置となるため、会計年度職員を増配し、窓口のフォローを進めます。将来は、指定金融機関からの強い要望である窓口廃止も視野にいれた公金取り扱い手段の多様化も模索してまいります。
●税務課・収納課
これまでどおり税の適正かつ公正な課税を目指すとともにキャッシュレス納税を推進することによって、徴収率向上への取り組みを推進してまいります。また、令和5年度開始に向けた、地方税統一QRコードによる納税への対応準備に取り組みます。
●住民課
令和4年度は、大字津波黒・大字田中の一部の地区の住居表示を実施いたします。
また、マイナンバーカード交付率向上のための体制を充実させ、あと一歩となった50%交付を早期に実現します。その後は、町民すべての人にマイナンバーカードが届くよう、さらに出張申請サービスを充実させるとともに様々な工夫を凝らして普及活動に取り組みます。
3 民生費・衛生費
民生費、衛生費は福祉課、こども育成課、健康課、都市整備課環境係が所管しております。
●福祉課
「小児AYA世代がん患者在宅療養支援事業」を開始します。また、福岡工業大学との共同研究事業として、令和3年度から開始した「ささぐり元気もん活動」が、コロナ禍のために一部しかできなかったことから継続して取り組みます。これは、町の高齢者の健康寿命の延伸につなげる取組みです。高齢者の巣ごもり生活による健康2次被害対策として行っている、オンライン介護予防教室を令和4年度以降も継続して行います。
●こども育成課
町立児童館3館及び放課後児童クラブの運営業務について、令和4年9月から指定管理者制度を導入します。
昨年度からの継続事業でございますが、保育所の待機児童解消対策として篠栗幼稚園の一部を民営化し、令和5年4月の認定こども園開園に向けた整備を行います。
支援を必要とする子ども及びその家族、妊産婦等についての記録等を一元管理するため、篠栗児童相談システムを導入いたします。
●健康課
新型コロナウイルス感染症対策に伴うワクチン接種推進室では、希望する町民に3回のワクチン接種の完了を目指すとともに、令和4年3月からスタートした5歳から11歳までのワクチン接種の体制を継続します。
令和4年度からは、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業に取り組むこととしております。また、造血細胞移植等医療行為後の任意予防接種費用助成を新たに行います。
●都市整備課環境係
脱炭素社会実現に向けて、篠栗町脱炭素ロードマップの作成を急ぎます。
また、クリーンパークに建設予定の次期処理施設について令和4年度中の入札の公募を行い、令和5年度に業者を決定するというスケジュールで事業を進めるとともに、令和4年度に地元対策として行う予定の周辺整備計画協議を固めます。
4 農林水産業費・商工費
次に、農林水産業費・商工費の所管であります産業観光課の取り組みについて申し上げます。
令和2年4月から事務局の民間委託を開始した篠栗町観光協会は、様々な新しい取り組みを提案しつつ、町の観光キーステーションとしての足固め3年目となります。民間委託契約最終年度の今年は取り組みの総括を行い、今後の方向性を固めてまいります。
消費者行政については、福岡県消費者行政活性化基金事業を活用し、啓発活動、消費者生活相談業務の機能強化を推し進めてまいりました。今後も「粕屋中南部広域消費生活センター」を拠点に、継続して相談者の対応に努めて参ります。
福岡県植樹祭を令和4年11月5日篠栗町にて開催する予定です。また、森林緊急造成事業(竹転事業)として、城戸地区の竹林を杉、檜へ転用する国庫補助事業に取り組みます。
5 土木費
●都市整備課
令和4年度は、災害対策のための水路改修工事の継続をはじめ、側溝整備や道路維持補修など、例年どおりの取組みを行うこととしております。
本年度も区からの要望を聞きながら優先順位を決めて実施いたします。
6 教育費
教育費は学校教育課、社会教育課 が所管しております。
●学校教育課
令和4年度も国のGIGAスクール構想の推進を図ってまいります。
●社会教育課
令和3年度からスタートした地域学校協働活動の推進について、各校区で特色ある取り組みを実施し、活動の拡大を進めます。
「篠栗町地域で子供の育成を考える会」からの提言を受けて、令和4年度の社会教育プランに「誰一人取り残される子どもをつくらない」ための目標を掲げできることからスタートすることとしております。
コロナ下であっても講演会、研修会、スポーツイベントなど、感染症対策を講じて出来る形で開催したいと考えております。
7 上下水道費
●上下水道課
令和2年度から、施設・管路更新の5ヶ年計画を進めていますが、令和4年度は金出地区、尾仲大柳地区の配水管更新工事を継続して進めます。老朽化している第1浄水場建て替えについて近隣の用地を取得し、現在の施設を活かした状態で新たな浄水場施設建設計画づくりを行うこととしています。
以上、令和4年度の各課の主な取り組みについて説明いたしました。
諸施策取組みに当たっては、これまで同様、職員一丸となって努力してまいることをお約束いたします。詳細は当初予算特別委員会においてご説明いたします。
私自身も、これまでどおり、自らが率先して関係方面との折衝・対応に当たり、町政発展の為に邁進する所存でございますので、議会におかれましても、引き続き篠栗町の発展のためご尽力賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。
令和4年3月7日 篠栗町長 三浦 正
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