令和元年第3回定例会挨拶(諸情勢報告)

本日令和元年第3回の定例会を招集いたしましたところ、公私共ご多忙の中、ご出席賜り誠にありがとうございました。

8月下旬の秋雨前線による豪雨は佐賀県を中心に大きな被害をもたらしました。被災された皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧・復興を願っております。

篠栗町では、去る7月21日の参議院選挙投票日、午前4時13分に大雨洪水警報が発令され、同11時59分に災害対策本部を設置いたしました。当日は選挙の投票日と重なり、人員配置に苦慮いたしましたが、対策本部は55名体制で対応し、災害に備えました。幸い雨は膠着状態となり、15時30分には警戒本部へと規模を縮小いたしました。その後、7月22日20時57分に大雨警報は解除になりました。

また、8月27日17時26分、大雨洪水警報が発令され、警戒レベル3に近い状況が2日間以上続きました。雨の降り具合では、警戒レベル4を想定しなければならない状況でしたが、幸いにもその後雨は小康状態となり、今回の大雨洪水警報は8月29日午後11時12分に解除となりました。この間、災害準備本部として総務課・都市整備課では丸2日間、24時間体制で待機いたしましたが、被害の発生もなく一安心したところでございます。

昨晩は、岡山県新見市で一時間当たり120ミリの豪雨となり、記録的短時間大雨情報の発令となりました。また、横浜市でも1時間73ミリの大雨となり、一時的に横浜駅が浸水したとのニュースが出ておりました。

ご承知のように最近は前線付近に線状降水帯が発生しやすくなっており、局所的な大雨が各地で降っております。またひとたび警報が発令されると長期化する場合が多くなっております。それほど、現代の科学をもってしても雲の動き・降雨状況の判断は難しいのであろうと推測されます。今後とも秋雨前線の停滞と台風の接近による大雨を警戒しなければなりません。


議案の説明に入ります前に6月議会以降の諸情勢報告をいたします。


7月18日、19日の市町村長特別セミナー、8月21日、22日の福岡県町村会中央研修会と首長向けの研修を受けてまいりました。例年開催のこの両研修は私にとりまして国の最新情報を得る大変重要な充電期間と位置付けているものでございます。

そのなかで今年は、平成30年7月に出された「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告」による将来に向けた圏域行政のあり方について学びました。

~人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか~

と副題につけられたこの報告では、新たな自治体行政の基本的考え方として、次のように議論が展開されます。


わが国は既に2008年から人口縮減期に入った。2040年頃には団塊ジュニア世代(年間出生数は200~210万人)が65歳以上となる一方、その頃に20歳代前半となる者の数は団塊ジュニア世代の半分程度にとどまる(2017年出生数は95万人)。我が国の社会経済に迫りくる労働力の深刻な供給制約は、もはや避けがたい社会経済の前提条件であるといえる。

(中略)

自治体に求められる機能も変化する。人口減少と高齢化により、公共私それぞれの人々の暮らしを支える機能が低下する中、自治体は、「プラットフォーム・ビルダー」として新しい公共私の協力関係を構築し、住民生活に不可欠なニーズを満たすことが求められる。

自治体の職員は関係者を巻き込み、まとめるプロジェクトマネジャーとなる必要がある。自治体においては公共私を支える人材の確保・育成が重要な課題となる。ワークライフバランスやワークライフミックスを実現しやすい地方圏においては、定年後だけでなく定年前から、新たな活躍の場や豊かな生活環境を求める人材が移住しやすい環境を整備することが重要である。

このような環境変化に対応して、自治体が住民サービスを持続的、かつ、安定的に提供していくためには、AI(人工知能)やロボティクスによって処理することができる事務作業はすべてAI・ロボティクスに任せ、職員は職員でなければできない業務に特化することが必要である。あわせて、新たな公共私の協力関係を構築することなどにより、従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能が発揮でき、量的にも質的にも困難さを増す課題を突破できるような仕組みを構築する必要がある。

(中略)

自治体のあり方は、人口縮減時代のパラダイムへ転換しなければならない。これまでの人口拡大期には、人口増加や都市の拡大に伴い増加する行政課題を、個々の自治体が現場の知恵と多様性によって生み出した新たな政策によってそれぞれ乗り越えてきた。いわば独立した自治体による個別最適の追求が全体最適をもたらした。

しかしながら、人口縮減期を迎え、行政の課題解決手法が成熟し、自治体同士がネットワークで結ばれるようになった今、行政サービスの質や水準に直結しない業務のカスタマイズはかえって全体最適の支障となっている。

今後の自治体は、行政サービスの質や水準に関する自律的な意思決定を行う主体であることを前提としつつ、その機能を存分に発揮するために、標準化された共通基盤を用いて、効率的にサービスを提供する体制を構築することが求められる。

(中略)

危機への対応こそが、新たな発展のチャンスである。国と自治体が冷静に現実を直視し、課題を先送りせず、2040年ごろからバックキャスティングして、解決策を模索し、全力で取り組むことが今まさに求められている。


少し長い引用になりましたが、こうした報告を基に、総務省幹部の講義を聴きますと、短期的な人口動向を云々するよりもはるかに重要な自治体の将来に向けた課題が透けて見えてくるような気がいたします。新たな概念であります公共私の考え方や、2040年ごろからバックキャスティングした現代の篠栗町のあるべき姿、そして持続可能で個性ある篠栗町の将来像についてなど、自治体運営の両輪であります議会の皆様と職員とで深く議論する場を持つことが必要ではないかと考えます。

平成30年度決算を私なりに総括いたしますと、これまで同様、職員に対しては、事業の優先順位を間違わないように、かつ予算の効率的な執行を心がけるよう指導してまいりました。その結果、2つの指標である財政力指数は0.59、経常収支比率は96.4%(平成30年度=ともに地区内最下位)でございます。現状の歳入の下でこれまで通り住民福祉の充実を重視した歳出では精一杯といわざるを得ません。それを打開するための具体策として取り組んでおります、「篠栗北地区産業団地整備事業」の早期完成等による「篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」の実現とその波及効果により、今後数年間で両数値とも改善していくものと考えます。

2020年度から、「第2期篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」をスタートすべくすでに準備に入っております。今後とも町民の皆様が安心して安全に幸せに暮らしていただけるよう、「第6次総合計画:(ささぐりみんなの羅針盤)」と「篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を柱にしっかり取り組んでまいることを改めてお約束いたします。

議会の皆様におかれましては、選ばれる町篠栗の実現に向けて、更なるご指導ご意見を賜りますよう何卒よろしくお願いいたします。

(令和元年9月4日)

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