令和元年第4回定例会挨拶(諸情勢報告)
本日、令和元年第4回の定例会を招集いたしましたところ、公私共ご多忙の中、ご出席賜り誠にありがとうございました。
師走に入ると同時にぐっと冷え込んでまいりました。いよいよ冬の訪れを感じるこのごろでございます。急な冷え込みに体調を崩すことのないよう気を引き締めて、令和元年最後の月を乗り切ろうと思っております。
昨日、人権週間のスタートの日に信じがたい突然の訃報が伝わりました。篠栗町が篠栗北中学校の生徒さんたちとともに長年支援しているペシャワール会の代表、中村哲先生が何者かの凶弾に倒れました。悔しい、悲しい事件の報道でした。
今朝の西日本新聞は、「ペシャワール会について語ることは人間と世界について総てを語ることであると言っても誇張ではない。貧困、富の格差、政治の不安定、宗教対立、麻薬、戦争、難民、近代化による伝統社会の破壊、およそあらゆる発展途上国の抱える悩みが集中しているからである」(著書『ペシャワールにて』から)の先生の言葉を引用し、先生の業績と追悼の言葉を何ページにもわたって掲載していました。
「誰もが行くところには誰かが行く、誰も行かないところこそ我々に対するニーズがある」。この30年間、正に命を懸けて活動してこられた方でした。
支援し続けてきた篠栗町民を代表して心から哀悼の意を表します。
提案理由をご説明する前に少しお時間をいただきまして、第3回定例会以降の諸情勢についてご報告申し上げます。
11月21日に熊本市で「令和元年度国有林野所在地市町村長有志協議会」が開催されました。私は有志協議会福岡ブロックの代表世話人を務めておりますので、今年もこの会に参加いたしました。この会議は、九州森林管理局長はじめ林野庁関係者との最新の林業行政全般についての情報交換会でございます。本年度の会議の中では特に、「森林経営管理制度」及び「森林環境税」の取り組みについて詳しい説明をお聞きすることができました。
「森林経営管理制度」とは、これまでは森林所有者が自らまたは民間事業者に委託して森林の経営管理を行っていましたが、市町村が森林所有者の意向を確認し、経営管理の委託を受け、林業経営に適した森林については林業経営者(わが町では主として福岡県広域森林組合)に再委託できるという新たな制度を追加したもので、これによって林業経営の効率化と森林管理の適正化を促進するものでございます。林野庁では伐期適齢期を迎えた人工林の伐採を促進し、新たな森づくりを推進したいとの意向でございます。
篠栗町の面積の約50%が杉・檜の人工林であることから、わが町にとっても大変重要な制度と位置付けて取り組む必要があると考えております。
また、昨年度も申しましたが、「森林環境税」は森林整備等のために必要な費用を令和6年度から国民一人当たり年間1,000円を徴収されるもので、年度総額600億円が見込まれております。一方「森林環境譲与税」は令和元年度から前倒しで市町村に対し配分されるもので、ここ3年間は総額200億円が見込まれ、3年ごとに配分額が拡大して行く予定でございます。詳しくは基金条例制定の議案第84号においてご審議いただくときにご説明申し上げます。
11月27日に安倍内閣総理大臣、衆参両院議長、高市総務大臣他をお迎えして令和元年度全国町村長大会が開催されました。全国926の町村長が一堂に会し、全国町村の総意としての国への要望を集約する重要な大会であります。
決議文には、例年通り「町村の多くは農山漁村地域にあり、文化・伝統の継承はもとより、食料の供給、水源かん養、自然環境の保全等、国民生活にとって極めて大きな役割を果たしてきた。このように、国民共有のかけがえのない財産であり、日本人の『心のふるさと』である農山漁村を次世代に引き継いで行くことが我々の責務である」と前段に記したうえで、今年度は、「一億総活躍社会の実現に向け、地方創生の更なる推進を図ること」「まち・ひと・しごと創生事業費を拡充するとともに、地方交付税等の一般財源総額を確保すること」「田園回帰の時代を拓き、都市と農山漁村の共生社会を実現すること」「国産木材の一層の需要拡大・利用促進による林業の振興を図ること」等、12の項目の要望書を満場一致で採択しました。併せて「農村価値の創生に関する特別決議」「これからの町村行政と新たな圏域行政に関する特別決議」も採択され、同日、全国町村会役員町村長において力強く関係各省に要望活動をしていただきました。
この「これからの町村行政と新たな圏域行政に関する特別決議」は、「国において進められようとしている新たな圏域行政の推進は、連携やネットワーク化の名のもと、都市部を中心とした行政の集約化・効率化につながることが強く懸念され、周縁部の町村を衰退に追い込む危険性をはらんでいる。これは『平成の大合併』の荒波の中で、苦渋の決断を迫られた我々町村及び旧町村の教訓でもある。広域行政は、既に一部事務組合や広域連合、事務委託や定住自立圏等多くの選択肢があるにもかかわらず、我々が納得できる十分な検証が行われないまま、新たな圏域行政の法制度化が行われるならば、屋上屋を重ねるだけでなく、町村の自治権を大きく損なうものである。我々全国の町村は、このような圏域行政の推進に断固反対する。」という力強い決議であることをご報告いたします。
また、明治大学の小田切徳美先生からは、特別講演の中で、「これからの人口減少社会においては、賑やかな地域を創ることこそ重要である。人口は減少しているけれども、ワイワイガヤガヤと賑やかしい地域である。関係人口・関係企業を増加させることによって人が人を呼び、仕事が人を創る。そうした町村社会が望まれる。人口から人財を求める時代が必ず来ると予測している。そのための様々な仕掛けを惜しまずに続けていただきたい」とのお話をいただきました。どの町村長も首肯する、町村自治を後押しする素晴らしい講演でした。
さて、すでに令和2年度予算の事務査定作業に入っているところでございますが、福祉の充実に関する予算に重きを置くことは勿論、篠栗北地区産業団地開発事業、住居表示整備事業等様々な取り組みを継続するとともに、新規事業にも着手する見込みでございます。また、令和2年度にスタートする「篠栗町第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の各項目の設定について、審議会にて議論を重ねているところでございます。本編作成、パブリックコメントを経て3月には議会にご報告いたしたいと考えております。
以上、第3回定例会以降の諸情勢をご報告いたしました。
(令和元年12月5日)
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